映像作家の一人として、また映像に関心を持つ人間の一人として、以前から映画館のように固定された空間で行う上映スタイルには疑問があった。誰もが同じ方向を向き、椅子に座って、上映時間が終われば否応なく出されてしまう。限定された空間での限定された鑑賞方法。かといってクラブなどではなかなか満足のいく映像/音響システムは望めない。「もっと自由に大スクリーンの映像を楽しめないだろうか?」と感じていた人は私以外にも多いと思う。
この展覧会では、映像、音、空間のすべてにおける質感に徹底的にこだわった。映像に関しては、作家が表現したかった色や動作が正確にスクリーンに映し出されているか。これについては、3700ルーメンのプロジェクターを使って4面の巨大スクリーンに投射することで、圧倒的な視覚体験を提供できたのではないだろうか。音に関しては、会場内のどの場所に立っても美しいサウンドが身体を包み込む、世界再高品質のスピーカーによる5.1チャンネル環境を実現した。空間に関しては、来場者各自のスタイルで自由に自分の体験を選択して欲しかったので、会場内であればどこからでも映像が楽しめるよう設計に気を配った。また、ただ映像を「鑑賞」する場所でなく、この空間自体が楽しく心地よいものであるように、4面スクリーンの内にはリビング・ルームのようなソファ、外には生きた芝生を配した。
触覚や嗅覚までを含み、展覧会自体を一つの体験として持ち帰って貰えたなら幸いである。
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映像作家/キュレーター/2dk Co., Ltd. 代表
東京を拠点に欧米や日本の多くの出版物・映像作品・展覧会などの企画・制作に携わり、市場やメディアを大胆に横断して活躍。2002年夏、東京国際フォーラムにおける現代美術展「TOKYO
ART JUNGLE」及びJR山手線を一車まるごと使った展示「TOKYO ART JUNGLE号」の企画/キュレーション/プロデュース/運営。2001年春カンヌ国際映画祭正式招待作品『H_story』(監督/諏訪敦彦、劇場公開映画)の監督協力、同年夏NYの現代美術館
P.S.1/MoMA で「Buzz Club : News from Japan」展の企画/共同キュレーションなど。
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本展覧会キュレーターのディヴィッド・ディヒーリが代表を務めるオフィス。
展覧会のキュレーション(2001年NY P.S.1/MoMA「BUZZ CLUB : News from Japan」共同キュレーション他)、映像作品の制作(2000年諏訪敦彦監督「H_Story」監督協力他)、出版物の企画、執筆(1997年TN
Probe刊「アジアが都市を超える」企画、執筆、監督他)など、国内外で多岐に渡る仕事を手掛ける。
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